「毒ヘパリン」(8)—輸入医薬品をめぐる議会の動き(WSJ、2月22日付)

     THE WALL STREET JOURNAL February 22, 2008
     Heparin Imbroglio Update: Congress, Baxter & Importation by Jacob Goldstein


米国内で販売される医薬品の原材料として用いられる外国製成分に、
事前審査を義務づけるべきだとの声が、議会内で高まっている。


医薬品産業と米国食品医薬品局(FDA)に対してしばしば厳しく臨む2人の民主党議員、
ジョン・ディンゲルとバート・ステュパック(共にミシガン州選出)は昨日、FDA 局長
および健康福祉省(DHHS)長官にレターを差し向け、バクスター最高経営責任者(CEO)
ロバート・パーキンソンへは、同社に粗製ヘパリンを供給していた中国サプライヤー
FDA の検査を受けていなかったことを認識していたかどうかの質問状を寄せた。


パーキンソン CEO は認識していなかったと回答したと、シカゴ・トリビューンは報じた。
中国サプライヤーは、ヘパリン成分をバクスターに販売したウィスコンシン州の企業が
合弁会社の一出資者として操業に関わっており、バクスターとの直接的な関係はなかった。
パーキンソン CEO は回答書の中で「サプライヤーへの原材料供給者を FDA が検査して
いないことを、われわれが知らなかったのは、異常なことではない」と述べた。


わたしたちが知りたいのは、輸入医薬品は安全なのか否かだ。
FDA は外国からの処方薬の輸入を長らく阻んできた。
まさに今月、FDAミネソタ州ダルースの市長に、外国製処方薬購入の計画は、
それを摂取する市民に「少なからぬリスクを負わせる」と回答したばかりだった。
その一方で、米投資コンサルタントモトリー・フールが指摘するように、
米国で販売されているヘパリンや他の医薬品は、しばしば、FDA の検査を
受けていない可能性のある外国の工場で生産された成分で作られているのだ。


ちなみに、バクスター製ヘパリンによる健康被害が、
中国製成分を原因とするかどうかは、いまだ明らかではない。

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