「食中毒はお天道さまのせいよ」

     Radio Free Asia March 4, 2008
     中国食品中毒造成的死亡人数上昇
 
中国の食品安全事故は過去1年、減少する傾向を示しているが、
事故による死亡者数は前年に比べて32%増加し、258人となった。
中国政府筋の報道発表によれば、被害者が100人を超えた事故が11件あった。
これを受けてカナダ在住の中国の著名な人権派弁護士・郭国汀は、食品中毒による
死亡者数の増加は、中国の現在の体制下では必然的に発生するものであるとする。


「中国の政治体制は一党支配であり、そのためすべての経済活動がひとつになって、
競争によって淘汰される自由競争経済に逆行している。その中で個々の経済活動が
誠実に行われているわけではなく、実際はいんちきをして他人を欺いての金儲けが奨励され、
およそ真面目に働くものは、必ず体制に報復され打ちのめされる。それとはまったく反対に、
虚為に満ちたものたちは、賄賂や買収などありとあらゆる手段を尽くして、自分にのみ
都合のよい成果を得ている。食品衛生の裏側では、メーカーが偽物を作ったり、ひとの
健康を顧みず、ひたすら自己の金儲けだけに腐心したりして、その結果どうなるかなど
考えもしないで食中毒を発生させている。食品中毒は共産党専制体制がもたらす
必然的産物であると言う所以だ」


中国政府筋は、昨年1万3280人が食品の安全性に関係して発病したとしているが、
このデータに対して納得できる解釈はなく、逆に、各家庭での発病のほとんどは
明らかに天気の変化が影響したものであるとの補足説明を加えている。
米国で医療に従事する金福生は、中国には食品安全に関する法律はあるが、それに
従わないところで問題が発生しており、法による監督が徹底していないのだと言う。


「メディアがもっと事実を伝えるべきです。法律がないのではなく、
法律がありながら、それが執行されないことが問題なのです。
法律が非常におおまかで、個々のケースに対応していないのです」


中国政府は近年、食品の安全性に対する監督管理を強めてきてはいるが、
問題はなお発生している。
つい先日も、日本において中国から輸入した冷凍水餃子を食べた消費者が
中毒症状を呈した事件があったばかりだ。
それでも金医師は、中国の食品の安全性問題は徐々に改善されるだろうと述べる。


「改善されつつはありますが、その速度は遅い、それが問題です。
あまりよい例ではありませんが、例えば飲食店での箸の取り扱いといった小さな
ところまで、衛生に関して法律で強制しなければ、国際的な水準には届きません」


中国全体では、食品安全基準はなお、庶民が安心できるレベルにまで至っていない。
ただし北京においては、北京オリンピックの食品安全基準は国際基準を上回って
いるとの宣言がなされた。


郭国汀は、中国の食品安全問題は、現在の体制下では解決されないと言う。


「これは根本の問題であって、頭が痛いから頭を治す、足が痛いから足を治すといった
対症療法をどうするかという話ではない、全体の根本が壊れてしまったのだ。
根本を変えない限り、変革は不可能だ」


民以食為天、食以安為先(民は食を以て天と為し、食は安きを以て先と為す
——ひとにとって食は重要であり、食は安全・安心が最優先される)。
中国国民の食品安全問題への関心は、4年前に急激に高まり始めた。
当時、安徽省において、少なくとも13人の乳児が、粉ミルクによって死亡したのだ。

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