「毒ヘパリン」番外—「わが国は欧米と共同で薬品安全監督管理を推進する」

     中国食品商務網 2008年02月29日
     4名患者使用美国百特公司所産肝素?后死亡(?は金へんに内)

米国バクスター製ヘパリン使用後に患者4名死亡


2008年2月11日、米バクスター製「ヘパリン」による薬品不良事件が起こったと、
米国食品医薬品局(FDA)より国家食品薬品監督管理局に通報があった。
その薬品の一部に、わが国江蘇省常州凱普生物化学有限公司が製造した原料が
使われているとのことである。
これを受けて、国家食品薬品監督管理局は関係部門が会合し、
関係企業の調査を行った。近日中に結果が公告される。


調査によると、バクスターに原料を供給していた常州凱普生物化学有限公司
米サイエンティフィック・プロテイン・ラボラトリーズ(SPL)と常州天普公司
合弁企業として1999年12月13日に設立され、薬品生産企業としては登記されておらず、
法定代表人は米国人であり、出資割合は SPL 55%、常州天普45%となっている。
常州凱普の原料ヘパリン生産技術は SPL の提供によるものであり、米国の薬品製造基準
ならびにバクスターの要求する基準に従って製造基準を定めているが、
その原料ヘパリンは国家食品薬品監督管理局の認可は受けていない。


原料ヘパリンは常州凱普から SPL へ直接供給され、SPL がバクスターに提供し、
ヘパリン注射液の製造に用いられる。
FDA は2004年8月に、常州凱普が SPL の原料ヘパリン製造工場であり、
バクスター製ヘパリン注射液の原料を提供していることを確認している。


FDA は近日中に検査員2名を常州市に派遣して常州凱普の現場検査を行い、
国家薬品監督管理局からは視察員を派遣して米国の検査に協力する。


このほか、国家食品薬品監督管理局は以下のことを強調する。


「わが国は『薬品管理法』『薬品管理法実施条例』等の法律法規を整備して、
原料薬品取り扱いおよび認証の管理を実行している。国家食品薬品監督管理局は
薬品貿易に従事する企業・組織に、再三、薬品生産経営資質を具えた中国薬品の
生産企業、経営企業として薬品貿易に従事するよう注意を促している。薬品生産企業、
薬品事業経営企業の情報は、国家食品薬品監督管理局のネットワーク上ですべて
把握することが可能である」

ニュース既報


FDA が発表したところでは、2007年12月中旬から2008年1月に至る期間、
バクスター・インターナショナルは同社製ヘパリンに関する報告を連続して受けた。
それによれば、ヘパリン使用後約350人が重篤な副作用を発症し、うち4人が死亡している。


「ウォールストリート・ジャーナル中国語版」の報じるところでは、
問題となっているバクスター製ヘパリンの有効成分は中国江蘇省常州市の某工場が
生産したものであることを、FDA は確認した。


FDA の1人は、記者に以下のように語っている。
「今回の件の常州凱普生物化学有限公司はそもそも、FDA の検査を受けなくては
ならない。しかし人為的ミスや情報技術系の欠陥などが原因して、今回のような
事態に陥る前の検査として、FDA は常規審査を行うことができなかった」
FDA はなるべく早く、常州凱普の検査を行うと発表した。


報道によれば、バクスターならびに FDA は現在のところ、副作用が常州凱普製造の原料に
関係するかどうかは確定できておらず、患者に現れた過敏反応の真の原因はなお未確定である。

相関資料


ヘパリンは豚の小腸粘膜から精製分離した一種の天然抗凝血剤であり、外科手術前後の
血栓形成防止、輸血時の血液凝固予防、保存血液の抗凝固剤など広範に用いられる。


国際慣例に照らせば、輸入原料薬品の合法性および品質安全性は、
輸入国が自国の関連法律に基づいて厳格にチェックすべきである。


2007年12月、中米両国は旧監督管理に関する共同の取り決めに
「薬品医療機器安全共同協議」条項を追加、署名した。
その主要内容として、輸出入原料薬品の監督管理における共同を
一層強化することが盛り込まれている。
同時にわが国は、欧州連合等の国家・地域とも薬品の監督管理の枠組み協議に
調印し、共同しての薬品安全監督管理を強く推進している。

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