「毒ヘパリン」(1)—バクスター、ヘパリンを回収(WSJ、1月25日付)

     THE WALL STREET JOURNAL January 25, 2008
     Baxter Issues Heparin Recall by Thomas M. Burton


バクスター・インターナショナル(イリノイ州ディアフィールド)は、
同社製抗血液凝固薬ヘパリンの注射に関連すると思われる多くのアレルギー反応と、
死亡例が1件報告されたことにより、ヘパリン数千回分の全米規模での回収を決定した。


バクスターによれば、ヘパリンは主に、心臓外科手術および透析で用いられる。
9ロットが回収対象となっている。
どれだけの数のヘパリンが既に処方されたか、まだ確定できていないが、
その範囲は全米に及ぶとのこと。


バクスターは1月17日に回収を開始した。
1月25日のバクスター発表によれば、通常、ヘパリンに由来する可能性のある
副作用は、1年間に60例から70例が報告されるが、今回は1月だけで、吐き気、嘔吐、
めまい、気力の喪失、のどの腫れ、血圧降下などを含む約150例が報告されている。


またバクスターは、今回のヘパリンの問題に「ひょっとすると関連するかもしれない」
死亡例が1件、発生したことを明らかにした。


バクスターは、今回問題となっているユニットは
「1,000 units/mL 10mL and 30mL multi-dose vials」であり、
それ以外のユニットについては、副作用の増加は見られなかったとしている。

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