ビジネスウィークの大予言「2008年10の出来事」

     BusinessWeek January 2, 2008
     Ten Likely Events in 2008 by BW Staff


さて、ノストラダムスさん、ちょっとそこを空けていただけますか。
予言するについてわれわれビジネスウィークは、あなたに劣るものでは
ありませんよ。特に——お金がからまない話であればね。


ビジネスウィークのライターならびに編集者が、互いの意見を掻き混ぜて、
これからの12カ月に必ずや起こるであろう10の出来事をお目にかける。
おそらくそれは、瑞光の周囲に現れる光る雲を(ありもしないのに)
ついつい見てしまう、われわれの性癖でもあろう。しかしわれわれは、
2007年の注目すべき事柄——高らかに褒め讃えられる企業業績とSNS
——この2つが2008年も走り続けるであろうことを思わざるを得ない。
オイルは牡牛のごとく、その道を進むだろう。
飛行機はうち揃って、緑の草原へと下降していくのだ。
目に見えるようではないか。


もちろん、ほんとうに未来を知ることができるのであれば、
われわれは“ファンシーな”ヘッジファンドを立ち上げる。そしてそう、
まさにそのファンドが昨年トラブルの渦中に陥ったことは、だれもが知っている。
そこにすべてを賭けるなんて、だれにできるって? そう、このことがすべてを
——われわれの予測に賭けるとどうなるかを——物語っている。

緑の危機

おなじみの「わが社は環境問題に取り組んでいます」の宣言が
マヤカシであることが明らかになり、環境ムーブメントからの反発が起こる。
企業の宣言する「カーボンニュートラル」は、懐疑的なメディア、消費者の間には、
なんらの重みももたらさない。

航空業界再編の動き

少なくともひとつの米メジャー航空会社が2008年、買収を仕掛ける。
最もありそうなシナリオとしては、デルタ航空によるノースウエスト、
ユナイテッド、あるいはジェットブルーに対するそれだ。
もしそうなれば、他の航空会社は計画の変更を余儀なくされる。
確かにどの航空会社も、取り残されて立ち往生することなど望んではいない。
たとえヒラリー・クリントンオバマのどちらかがホワイトハウス入りして、
製造業界再編にブレーキをかけたとしてもだ。


この動きの主な要因は、2008年に予想される企業のお寒い財務状況であり、
米国の経済およびビジネス界は健全な製造業を必要としているという議論だ。
さらに、経営危機に陥りリストラ策を講じる航空会社に出資する
プライベート・エクイティ・ファンドヘッジファンドのオーナーは、
リターンを要求するものだ。

ブルームバーグの歴史的スパート

ニューヨーク市マイケル・ブルームバーグが2月、大統領選に参戦する。
2大政党の候補者が決まってからだ。
彼の数十億ドルの資産と選挙組織は選挙人に強い印象を与え、
ライバルたちには衝撃を与えるだろう。
彼はテディ・ルーズベルト以来の、最も可能性の高い「第三の候補者」に見える。
しかしブルームバーグは、民主党共和党の双方から攻撃をくらい、
あえなく失速するだろう。彼とクリントンで50%以上の票を獲得するだろうが
アリゾナの一匹オオカミ、ジョン・マケイン上院議員が、次の大統領になるのだ。

バイバイ、CD

音楽業界は危機に直面している。CDセールスが急落しているのだ。
しかも、さらに悪化しつつある。
今年、ウォルマート・ストアーズやベスト・バイといった主要な小売業者は、
CD売り場を大胆に縮小するだろう。おそらくはたった1本の通路、
ポップスのタイトルで埋められたメインストリームを除いて。
しかし、デジタルミュージックそのものは成長を続ける。
アップルやアアゾン・ドット・コムの広告サポートを受ける imeem のような
ウェブサイトや、急速に成長した Pitchfork などの影響で。

そろそろウンザリ、フェースブック

友人から、別なSNSへの招待状を受け取ることに、
そろそろみんなウンザリしてくる頃だろう。
そして、フェースブックが社会的イニシアティブで下手を打ったことによって、
利用者は退会する以外に選択肢はないことが分かるだろう。
社会的な“顔”は、検索からニュースまで、あらゆるウェブサービスへと
広がっていくが、だれもかれもがSNSへと殺到するゴールドラッシュは、
彼ら自身の手によって、幕が下ろされようとしている。

結局のところ、インターネットTV

もう何年もの間トンマな連中は、自室の52インチ大画面テレビで
インターネットのすべての動画を見ることを夢見てきた。
しかしそれは、“イタイ夢”というものだ。
2008年、それは変化する。


今年、アップルTVが世間からけなされている間に、
スティーブ・ジョブズと仲間たち”は最も重要な課題
——家庭用映像装置に向けたアグレッシブな動きを見せるだろう。
おそらくアップルは、必要なネット機能をすべて内蔵した
ゴージャスなテレビを作る。
アップルがやらなければ、だれかがやる。

前代未聞の賄賂劇

ドイツ電機大手・シーメンスは、米証券取引委員会と米司法省による
訴追を避けるために、10億ドル以上の罰金を支払うことに同意する。
外国での契約を勝ち取るための数億ドルの贈賄に科せられるものだ。
対外不正行為防止法によって、これまでの記録が打ち破られる。
シーメンスミュンヘンの本社内にコンプライアンス調査委員会を設置し、
社内浄化を保障することにもなるだろう。

ウェブクラッシュ2.0

不況の最後の打撃は、ウェブ2.0企業を打ちのめす。
彼らには、市場で生き残るための十分な広告資金も残っていない。
企業を買収するに十分大きなグーグルやマイクロソフト、さらには
老舗のメディア企業さえ、そっぽを向く。
そのうえベンチャー投資家は、広告のようなビジネスに依存する
ウェブ新興企業よりも、浄化技術開発企業の方に、より勢いを
見いだすかもしれない。


多くのウェブ2.0企業が“DeadPool”入りすることになる。
ひたすらウェブ新興企業をずらずらと紹介する TechCrunch が、
今度は、つぶれた会社のリストを読み上げるのだ。ずらずらと。

原油が100ドルを超える日

原油1バレル100ドル、そんな日は来るのだろうか?
ロンドンに本拠を置くバークレー・キャピタルの商品調査部長、
ポール・ホースネルは、「2008年」に賭け金を張った。
ホースネルは、1バレル100ドルということ自体には、たいした意味が
あるわけではないが、この予想はスラムダンクだと考えている。
はずしようがない、というわけだ。


ホースネルの予想は、将来の業績カーブが原油価格に影響される工業界の、
あらゆる基礎的要因に基づく。
6年におよぶ価格上昇にもかかわらず需要は、特に中国で伸び続けているが、
産油国中東からの供給はそれに応えていない。
このことが、原油先物価格が5〜7年の間一本調子で上がり続け、
近年85ドルのレンジに至った理由である。
ホースネルは、どちらかと言えば小さく報道されるようなこの価格が、
長期的に持続可能な原油価格を表していると信じているが、同時に、
ひとびとの耳目を集める短期的な価格は非常に不安定であり、
2007年に50ドルから100ドル近くまでの広いレンジ幅を示したのだ。

ビッグブラザー”が帰ってくる※

10年の間、“ネット・ハッピー・ワールド”はオンラインでの
個人的な情報のやり取りを楽しんできた。
プライバシーに関する、どちらかといえば小さな不安を抱えつつだ。
いま、その問題が前面に出てくるかもしれない。
キャリアーとケーブル会社がクリック追跡ソフトウエアを備えて、
北京五輪のインターネット監視に関する情報をニュースにリークしているのだ。

ビッグブラザー全体主義社会を描いたジョージ・オーウェル1984』中の独裁者の呼称。
作中、すべて市民は24時間監視されている。その監視手法は、まさに
現在のインターネットを予見させるものとも思える。


参照:2008年に“起こらない”10のあれこれ