ツチノコ、ヒバゴン、イッシー、クッシー、華南虎(huananhu)

     八界網 November 17, 2007
     網友掲周正龍陝西華南虎照片原型為一張年画

ネットが暴く! 周正龍“陝西華南虎”写真の原型は1枚の年画だった!

10月12日、陝西省林業庁が新聞記者会見を召集し、鎮坪県の農民・周正龍が
野生の華南虎を撮影したと発表したときには、中国全土が驚いたが、
数日後にはインターネットやメディアで疑問が出始めた。


10月17日には南方都市報が「ネットユーザー、印刷した虎を撮影との
大胆な仮説を提唱」として報じ、ネット上では「紙老虎」と称された。


昨日、「周老虎」はやはり「紙老虎」であるとして、応接間に掛けられた1幅の年画が
ネット上に掲載され、「ネット友だちの家に掛かる一幅の年画」と題された詩が添えられた。


     掛在網友家中的一幅年画


  遠看山有色    遠く山に色あるを看(み)
  近聴水無声    近く水の無声なるを聴く
  春去花還在    春去りて花はなお在り
  人来虎不驚    人来れども虎おどろかず


陝西省の農民・周正龍が野生の華南虎を撮影した事件は、10月12日の新聞記者会見から
ひと月と4日を経過して、「周老虎」の原型が水面に浮かび上がってきた。
四川省の“パンジー”が、自宅の壁に掛けられている年画の中に「老虎」を見つけ出した!


それからはすべてが驚くべき速さで進展し、何時間かのうちに年画の製作業者が
突き止められ、業者はそれを製作したことを認めた。
かつネットユーザーは年画の専門業者からゲラ刷りまで入手した。
事ここに至って、国家関連部門の鑑定を待つまでもなく、ネットユーザーおよび
彼らと関係する専門家は、真相の大部分は明白であると考えた。

■虎探しネットワーク

一昨日の午後9時頃、“パンジーxydz”は「打虎派」の本拠となった
“姿かたちなき華南虎臨時フォーラム”にメッセージを書き込んだ。
「老虎はニセモノだ。うちの壁に掛かっている老虎画をこまかく見たけど、耳以外は
模様まで同じだった。みんなに、どうやってこのことを伝えたらいいんだろう。
うちの虎画の写真は撮ったんだけど」


昨日午前10時半、“小魚のつぶやき”が“パンジーxydz”から写真を受け取り、
「パンジーに渡された写真が老虎の原図だと思う」とパンジーに同調した。
それから正午までの間に、同様の写真が13枚アップされた。
さらにすぐさま、そうしたことが得意なメンバーがこれら画像と「周老虎」を比較し、
まったく同じものであるとの結論を出した。打虎陣営は歓呼した。
もともと老虎擁護派だった“ひがみや”はGIF動画を作って比較し、
それで打虎派に転向したのだと皆は思っている。


“小魚のつぶやき”が本報記者に語る。
「ぼくはずっと“打虎”フォーラムにいるけど、このひと月でフォーラムのみんなと会ったよ。
“パンジーxydz”が昨晩1時過ぎにメッセージを書き込んだんだけど、あの虎の年画は
去年買ったんだって。いつ作られたのかは、分からないそうだけど」

■年画の編号はTQ8031

“パンジーxydz”はメディアに出ることを嫌がって、写真を提供する以外、
記者との直接的接触は断った。


しかしその写真こそは、パンドラの箱を開ける鍵だ。
南都数字報(南都ネット)は、この事件をリアルタイムで報道している。
昨日午後、提供された年画の写真について“小魚のつぶやき”が報告した。
年画の左下角に4つの銅銭を象った商標がある。上側にも4つの漢字があるが、
こちらは何と書かれているのか曖昧である。


彼はこの手がかりをひとりで分析し、この文字群を「?(金)龍壁画」と見当をつけて、
このメーカーのホームページを見つけ出した。そこにははっきりと商標が表示されていた。
そのウェブサイトをさらに捜し回ると、商品カタログの中に、
老虎の赫然たる目があり——その商品番号は「TQ8031」だった。


この小さなウェブサイトは押し寄せる潮の如きアクセスに耐えられず、10分経っても
虎図が表示されない状態に陥った。昨晩には、アクセス不可能となっている。

■年画メーカー「これは、うちの虎です」

年画を出版する浙江威斯特彩印包装公司の名は一瞬で中国中に知れ渡った。
会社の電話もトップの駱光臨氏の電話も、ネットユーザーや記者からの電話で鳴りやまなくなった。
駱氏は真剣に図版を見て、軽くひと息吐いて言った。「これは、うちのです」
その画は彼の会社が製作したものであり、さらにその原図は駱氏自らの手になるとのこと。
彼は、華南虎の写真はネットで見たことはあるものの、まさか自分と関係があるとは思わなかったと言う。
「確かに、これはうちの虎です。彼(周正龍)が撮ったんですって? 彼はそう言ってるんですか?
これは確かに、間違いなくわたしの虎です。確かに見覚えがあるんだから」


昨夜、駱光臨氏は打虎派の「偽虎を打て」フォーラムに“光臨”し、老虎図の由来を語った。
画の虎は本物であり、2002年にある図版会社から借りた図版をもとに、
動物保護の宣伝のために製作したものとのこと。
原図はあるかとの記者の問いには、まだ手元にデジタルデータで持っていると答えた。
また、だれからかは不明だが、彼の妻が脅迫的な内容の電話を受けたことがあるとも語った。


駱光臨氏は昨晩「新京報」の訪問取材を受けて、
2002年にロシアから動物のデザイン画の注文を受けたことを話した。
「当時わたしは、自然との調和や動物保護の宣伝のため、
そう多くはありませんが動物のデザイン画を製作しました」


そこで駱光臨氏は、北京の図版会社から1枚の虎の図版を借りた。
「(華南虎ではなく)国外の虎の可能性もあります」
原図の製作に当たって必要な写真は「規格品」で、すべて専門会社から借りている。
該当の老虎図の「規格品」は6×12センチの精細な図であり、使用料は800元から900元。
社内の技術者が原図をスキャンして、国外の滝の図などと合成して製版、印刷する。

■周正龍「この2枚の写真は同じじゃないよ」

周正龍は自分の首を手で切るまねをしながら言った。
「おれを刑務所にブチ込めよ、首を刎ねろよ。この写真は本物だよ!」

■「おれが撮った虎は本物だ!」

昨日午後1時頃、周正龍の携帯電話が鳴った。
相手のことばを途中でさえぎって、
「あんたが言ってることは、おれには分からんね。おれが撮った虎は本物だよ!」
質問は受け付けず、説明もほとんどせず、すぐさま電話を切った。
電話をかけたのは1人の記者だった。
周正龍が「分からない」と答えた質問は、まさに昨日、ネット上で広まった
うわさだった——「華南虎の写真は1枚の年画がネタモトだ」


周正龍はネット上で「年画老虎」と彼が撮ったという虎の写真がいちいち対比されるのを
目の当たりにしても、示す反応は依然として「おれのは本物だよ、偽物じゃないよ」
記者がコンピューターのモニターにふたつの写真を映し、それぞれの虎の目、口、模様など
その相似をいちいち細かく指摘しても、周正龍はかすかに眉をひそめ、目を細めて、
こまかく比べてみながら、一方でしっかりした語気で言う。
「口は違う、どこもかしこも、みな違う。2枚の写真は、それぞれがひとつだ(同じじゃない)」
「野生の華南虎とひとが飼ってる虎じゃあ、毛皮の色つやだって違うだろ」
記者は半日を費やして、コンピューターを使えば色を変えることなど簡単にできると説明するが、
彼は聞いても理解しない。ただただ頭を振って「いいや、違う」と言うのだ。

■「きのう、華南虎が羊を食った」

彼が撮った虎が本物である証明として、周正龍はその日の情景を思い出して語る。
「虎がひと声、大きく唸ったんだ。おりゃあもう、びっくりして全身震えたね。
まさか、あの唸り声も偽物だって言うんじゃねえだろうな」
彼はまた、1つの新しい情況を語った。
「きのう、華南虎が羊を1頭食っちまったよ」
ただしその具体的な場所については「うかつにゃあ、言えね」
彼は遠く山の霧を見ていた。
晴れたら記者を山上の、虎を撮影した現場に連れていくと言った。
「そこにゃあ虎穴が1個あって、足跡もまだ何個かついてるだろ」


取材の最後に、年画に描かれた虎と周正龍が撮影した虎にどういう関係があるのか、
本報記者に1時間余り問い詰められて、室内にはわずかながら緊張の空気が漂った。
周正龍は開いた外套の前を引っ張り合わせて、大声で言った。
「おれがわざわざ偽物をつくったって? 冗談言ってらあ! おれの言うことを信じろよ、
おりゃあただの百姓だ、うそなんてつけねえんだよ、本物だったら本物だ」
「おれを監獄にブチ込めよ、首を刎ねろよ。この写真は本物だよ!」
と自分の首を手で切るまねをしながら彼は言った。
例えば、もし将来華南虎を探すひとがいて、新たにその写真を撮ったら、
「離ればなれになったおれの首とからだを、あんた、どうしてくれるって言うんだい?」

■「また山に入る。虎を探す」

つくり事を言っているのではないと実証するため、周正龍は実際の行動と証拠を示して、
ひとびとの疑問に答えることになろう。


最も簡単に証明することのできる証拠について、周正龍が語る。
「国家林業局のおエライさん方がやって来たけどな、もしあのひとたちにしっかりした
自信がないなら、1枚の写真で鎮坪まで虎を探しに来るなんて、あり得ないだろ。
山の上まで行きゃ虎のクソも足跡もあるし、クソは化学検査するのに持ち帰った。
本物か偽物かの結果なんて、すぐ出るだろ。偽物の可能性なんて、これっぱかしも
ありゃしないんだよ」


周正龍は記者に対して、記者が彼の真意を無理に曲解しさえしなければ、
彼が嘘をつく人間かどうか、すぐにでも証明できる、と約束した。
「あの虎の写真を撮った場所には、小さい子虎がいるんだ。
何日かうちにもういっぺん虎を探しに山に入るつもりだ。
あんたに証拠を見せるよ、野生の華南虎がいるって証明するよ」

■伝徳志「泣くことはない、大笑いすればよいのです」

最も早い段階で虎の写真に疑問を呈した中国科学院の植物専門家・伝徳志氏は、
昨日「年画」を見て、これでこの事件も終結するのではないか、と述べた。
「この年画が、周正龍が撮影した華南虎の原型でしょう。
こまかく見ていけば、あらゆる部分でよく似ている」
伝徳志氏のもとには、少なからぬネット友だちが電話をかけてきて、
真実を話して聞かせると、声を失い泣き出すほどのひともいたそうだ。
そうした友人には、彼はこのように説いた。
「泣くことはないんですよ。真実が明らかになったのは、よいことです。
とても愉快じゃないですか。大笑いこそがふさわしい」


伝徳志氏は言う。
「わたしの分析はすでに終わりました。画面全体と要素要素の配置の分析から(周老虎は)
年画であると考えるのが正解でしょう。周正龍は、彼が使った原型そのものを見つけることは
不可能だと言いふらしていますが、彼の虎の写真と年画の一致を分析することは可能です。
フォトショップで加工された周さんの虎を、寸法、光線、(写真に写っていない)足や
完全な虎の尾など、元の年画に戻すことは不可能ですが、虎の逃げ道はふさぎました
(言い逃れの余地はありません)。年画がまずあり、周老虎はそれを模したものです」

■胡慧建「年画の虎こそ“周老虎”」

華南虎の専門家である華南瀕危動物研究所副研究員・胡慧建氏は年画の図版を見終えて、
年画に描かれた虎は間違いなく周正龍の写真の中の虎と同じものであるとの考えを述べた。
「虎の斑紋は人間の指紋と同じですから、同定できないなどということはありません。
頭の上の斑紋だけで、同じ虎であると判断するに十分です。
さらに全身の斑紋までもが完全に重なりますから、何をかいわんや、ですな」


そのほかに、年画の虎はフォトショップで作成されたものではないかと指摘した。
「ことに耳があやしいですね——年画の虎の耳には、左右の耳それぞれに対称な欠けがあります。
タグとして人工的につけられたのでない限り、野生の虎の耳にこんな欠けなどあり得ません。
それから、後ろ足が非常にへんてこで、分かりやすく言えば、膝小僧がありません」

■奚志農「まったく同じ虎ですよ」

野生動物カメラマンとして著名な奚志農氏。
彼は今日、成都の友人から送信されたメッセージによって、この数日間の成りゆきを知った。
だから、その間に発表された専門家の見解には一切よらず、
ふたつの虎を見比べただけで同じものだと判定した。
「目を見れば分かります」。即座に同じ虎だと思ったと言う。
虎の年画を見て、彼の最初の行動は携帯電話に手を伸ばすことだった。
「虎の写真が見つかったよ」「出来はどう、フォトショップの腕は、あなたより上?」
奚志農氏は、しょうがないなあという表情で苦笑して「そうだね、わたしより上だね」と答えた。
それから彼は、あちこちの友人に電話をかけて、全員に伝えた。
「真相ははっきりした。ひと月経って、やっと安心して眠ることができる」

■年画華南虎、4つの疑問

1-虎の年画はほんとうに存在するのか?

本報記者が入手した年画の原図は、撮影の専門家の鑑定を経て、何らの処理も経ていないもので
あると確認している。また、義烏年画専門街では“最高にクールな連中”がビデオ撮影を行なった。
店主が1冊の年画カタログを示しているもので、山水風光図の並ぶ下に、“パンジー”が提供したのと
同じ年画の小さな図を見ることができる。浙江威斯特彩印包装公司が、同社で製作したと認めたものだ。

2-年画の方が「周老虎」の模倣ではないと、どうやって証明するのか?

周正龍は自ら、華南虎を撮影したのは今年の10月3日であると言っているが、年画製造会社が
自社のウェブサイトにそのサンプル画像を掲載したのは2006年3月2日であり、年画そのものの
発売は当然、その数年前に遡る。

3-ふたつの虎が偶然似ることは、あり得ないか?

専門家によれば、虎の条紋は人類の指紋と同様、世界中のどの虎も、2頭の虎の条紋が完全に
一致することは絶対にない。数年前の年画の虎と数カ月前の野生の華南虎については言うまでもない。

4-年画の虎の由来は?

年画製造会社社長の駱光臨氏の説明によれば、年画の虎は本物の虎を写したものであり、
2002年にある図版会社から借り、彼の手元にはデジタルデータで残っている。
ただしそれがどこの虎であるかについては、いまなお不明である。


     (人民日報的“華南虎”総括参照)