中国では30秒に1人、先天性障害児が生まれる

美人魚嬰児

                radio free asia 2007.12.05


中国国家人口計画生育委員会が先日公表したデータによれば、
中国では30秒に1人、障害のある嬰児が生まれており、このため中国政府筋は、
全国的な障害児出生の第1級予防策を策定し動き始めました。
自由アジア放送がお伝えします。


  ※「第1級予防策」とは、3段階の先天性障害児出生予防策の第1段階=妊娠前の予防策を指す。
   第2級は妊娠期間中の予防および検診による早期発見、第3級は出生後の早期発見および治療。


先日、中国国家人口計画生育委員会による「障害児出生予防会議」が以下の内容を公布したと「中国青年報」が報じた。
2001年から2006年にかけて、衛生部が医院における先天性の障害児出生を調査したところ、
障害児出生率は年を追うごとに増加の傾向にある。中国大陸では毎年、80万人から120万人の障害児が生まれている。
全国累計では、3000万近くの家庭で障害児が生まれており、これは実に中国家庭総数の約10分の1である。


先天性障害とは、出生以前の胎児の状態で既になんらかの構造的または機能的な異常があることを指しており、
出生時にはそれら障害は些細なものであるが、成長するに従って顕著となる。
包括的な遺伝、または環境、もしくはこの2つが影響し合って、先天的な障害の原因となっている。
現在、先天性障害は世界的な一大難題である。


中国国家人口計生委副主任・江帆氏によれば、中国では毎年、先天性障害児の治療に数百億元、
最低限の基本的な生活を維持するために数百億元、間接的費用数千億元が費やされている。
一般には、障害児を持つ家庭の悲劇は、優生優育の自覚を欠いたところに
根源がある(妊娠・出産・育児に対して無自覚な家庭に原因がある)とされるが、
中国国家婦幼保健センターの専門家は、障害児出生率増加の主要な原因は環境汚染であると考えている。
米ワシントンに本拠を置く国際環境保護機構「地球政策センター」のジャネット・ラーセン女史は、
環境汚染と胎児の健康被害について、次のように述べている:


「医学界では、環境汚染物質が胎児に危害を与え、身体障害を引き起こすことは早くから知られていました。
中国最大の汚染源は石炭発電所で、空気中に大量に放出された有毒物質である水銀は、
(それを吸い込んだ)母親の血液から胎児の体内へと容易に入り込みます。
このほか、空気中の水銀は河川へも流入し、そこから農作物に吸収され蓄積されて、
胎児や子どもたちだけでなく、成人までもが不断に有毒物質の危険にさらされています。
一国の経済的発展が、このような大規模な環境破壊、自然破壊の上に成り立つ時、国家の払う代償は
あまりにも大きいものです。将来の中国の人々に残される負担は、想像もできません」


ドイツ在住の中国環境保護活動家・王維洛氏は、妊婦と胎児は周囲の環境に最も敏感で、
ゆえに最も容易に環境汚染による害を被ると指摘する:


「環境汚染の影響を最も大きく受けるのは、老人と子どもであり、妊婦も同様です。
これらの人は最も敏感であり、最も簡単に発症します。
中国は経済的発展を考える一方で、環境汚染問題については考慮してこなかったことは確かです。
いまのところ、ポジティブな面が1つあります。環境汚染が原因だということが分かっていることです。
まず環境汚染を解決して、それからそのほかの課題を解決する――なぜ人は、そうしないのでしょう?
現在のような道理のない行いは、正しいのでしょうか?」


「中国青年報」の報道によれば、国家人口計生委は1999年には既に「障害児出生予防策」を講じていた。
全国60%以上の県レベルでの計画生育サービス機構に検査室を設置し(検診による胎児の異常の発見に
努めることで)先天性障害児出生の危険性を減らしてきた。今回の障害児出生予防会議において、
国家人口計生委は障害児出生の第1級予防策として「健康促進」「正しい婚姻の啓蒙」「婚姻に
適さない人物への指導」「婚前検診」「栄養補助」などの全面的な展開を図ることとなった。


以上、自由アジア放送がお伝えしました。


(画像は、自由アジア放送当該記事掲載の「美人魚嬰児」)
http://www.rfa.org/mandarin/shenrubaodao/2007/09/21/quexianer/


日経ビジネスオンラインNBonline)「キタムラ・リポート2007.12.07」
●中国のアブナイ環境(その2)〜30秒に1人“先天性障害児”が誕生
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071205/142373/

「美人魚嬰児」の続報。
●中国の「リトル・マーメイド」、その後
http://chiquita.blog17.fc2.com/blog-entry-2110.html