胃ガンは“貧窮型”、肺ガンは“富裕型”


中国には「ガンの村(癌症村)」(団ノムラじゃないよ)と呼ばれる、
ガンによる死亡率がべらぼうに高い地域が複数あります。
それを紹介した記事↓


 中国の「ガンの村」で考える
 「北京オリンピックの時だけ青空」でいいのか
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070906/134149/


この記事中で一部引用されている「瞭望東方週刊」の記事を、また自分なりに訳してみました。
この記事中で、中国は工業化の推進によって


  国民の生活水準を高め、胃ガン、食道ガンといった“貧窮型ガン”の発症は低下したが、
  同時に肺ガン、乳ガン、すい臓ガン、大腸ガンといった“富裕型ガン”の発症は増加している


とあります。
この説によれば、日本人には胃ガンが多い、というのは、
日本人には貧乏人が多いということなのかもね。


元記事はこちら
「瞭望東方週刊」ではないけれど、そのまま掲載してあるもよう。

【ガンの爆発的な発症】


太湖の後を継ぐかのように、巣湖にも広い範囲にわたって藍藻が発生している。
ガンの高発症地域である河南省沈丘県槐店の中学生は毎日マスクを着けて登校している。


  (訳注:藍藻はアオコのこと。毒素を発生する
  近年、中国各地の湖沼・河川に大量に発生して、死亡に至る疾病の原因となったり
  飲料水不足などの深刻な問題を引き起こしている)


■2007年4月、北京腫瘍病院では1万7300件の外来診療があった。これは10年前の4倍以上である。
■2006年の都市部における悪性腫瘍による死亡率は前年の18.6%増であった。
■肺ガンによる死亡率は30年前の500%に達した。年平均26.9%増という高率である。
 年を経るごとに、あたかも風邪にでも罹るかのようにガンを発病してしまう。


宣武門大街で生花店を営む張氏は、花を買いにきた同期の学友に会うたびに、だれそれがガンになったと聞かされ、
悲嘆を禁じ得ない。「現在、だれかがガンになったと聞くのは、以前であれば、だれかが風邪をひいたと聞くのと、
同じような感じだ(それほど簡単に、だれもがガンになる)」


長城生命の李昇氏も、同様に感じている。5月に保険金を支払った4件のうち、3件がガン発症によるものだった。
長城生命が発表したデータによれば、同社が保険金を支払った件数に対するガンの割合は、
2005年は0.42%だったが、今年(2007年)は0.5%以上に上り、直近では20%に及ぶ。


ガン発症の増加を示す最も説得力のあるデータは、腫瘍病院の受診人数である。
北京腫瘍病院消化内科副主任医師・李潔氏によれば、同院が1996年に正式に運営された時点でベッド数は
300余りだったが、全部が患者で埋まることはなかった。病院全体で医者もあまりいなかった。
李潔氏が医療に従事してからの35年間で、患者は年々増加し、最近ではその増加速度はさらに増しているという。


過去、外来を訪れる受診者は午前9時以降もそれほど多いものではなく、午後に至っては
受付も閑散としたものだった。現在は朝から晩までひっきりなしに受診者がやってきて、
各診療科とも入院患者でいっぱいで、根本的にベッドが足りていない。


現在、同院の医療従事者は、消化内科、医生、研究生、看護師を含めて90人余り。
事務室に掲げられた2006年末総会の写真では、全員が5列もに並んで写っている。


かくのごとき状況で、医師たちはいずれも多忙をきわめている。
李潔副主任医師は通常は病棟におり、毎週1回外来を受け持っている。午前8時から診察を始めて、
午後は1時半から診察を再開するが、午前中の診察を午後1時に終えることもある。そのような時、
彼女は事務室に急いで走り帰り、5分で昼食を済ませる。事務室の壁にはデリバリーのメニューが何枚か貼ってある。


医師たちがこのように忙しいのは奇妙なことではない。
2007年4月の北京腫瘍病院の総診療件数はおよそ1万7300件に上った。
10年前の1997年4月は4178件であり、10年間で4倍以上に増加したわけである。
同院の年間総診療件数で見ると、1997年の4万5167件から2003年には9万8423件と10万件近くに及び、
さらに3年後の2006年には15万5242件と15万件を超えるに至った。


一方で医療従事者は、ガン発症の若年化傾向に強い危機感を抱いている。
李潔氏が診た最年少のガン患者はわずか12歳だった。彼女が引き継いだある患者は妊娠中に
ガンを発症していたが、ガン症状を妊娠反応であると見なされて十分な治療を受けておらず、
子どもが生まれたときには、すでに末期だった。ある28歳の若い母親は、子どもを産んで
ちょうど3カ月で、末期ガンのために死亡した。


2005年秋の2〜3カ月、李潔氏の消化内科で入院治療している患者の平均年齢は40歳に満たず、
それに比べてともに食事をしている同輩がみな40歳を超えていることは、単なる“幸運”としか思えないのだった。

●ガン死亡率はGDP成長率を超える


ガンの高発症率は一部の人の感覚や個別の病院のデータにすぎないものではない。
衛生部は5月8日、2006年の都市・農村部における主要死亡原因を発表し、悪性腫瘍が
脳血管疾病を上回って中国国民の主要な死因となっていることが明らかとなった。


2006年全国30都市ならびに78農村部での死亡原因統計によると、
都市部における悪性腫瘍による死亡率は1年間で18.6%上昇しており、農村部では同23.1%上昇している。


新中国成立(1949年)以来、衛生部では1975年、1992年および2002年の
3次にわたって大規模な悪性腫瘍による死因調査を実施している。


この調査結果によれば、中国における悪性腫瘍による死亡率は、75年が人口10万当たり99.5、
92年が同124.46、2002年が同148であり、30年間で50%近く上昇している。


このうち、500%以上の上昇率を示すガンがある。環境汚染、化学品使用と密接に関連する肺ガンである。
人口10万当たりの肺ガンによる死亡者数は、75年が男性6.82、女性3.20で、悪性腫瘍による死因としては
第4位であるが、92年には男性29.20、女性11.72で第3位、2002年には男性35、女性14で第1位となった。
肺ガンによる死亡率は30年前の500%にまで上昇し、年平均では26.9%の上昇となる。


  (訳注:中国のGDP国内総生産成長率は2003年以降、連続して10%以上)

●工業化の必然的代償か?


1975年、1992年および2002年という年次を、中国経済史に当てはめてみると、
全面工業化以前、全面工業化起動時、そして高速工業化の時期に対応する。


人口10万当たりの悪性腫瘍による死亡者数は、75年に中国99.5、日本116.7、米国131.5、
西ドイツ153.1であり、中国は他の国々と比較して低い数値となっている。


92年は中国(男性)163.98で、この数値は米国166.36、カナダ165.22、シンガポール168.08と
ほぼ同水準であり、ロシア223.85、英国177.57よりも低い数値となっている。
ただし日本の149.48よりも高率である。


2002年は、中国における悪性腫瘍による死亡率は、人口10万当たり148で、世界第52位であり、
英国143、フランス142、ドイツ141、米国134、および日本の119といった国々よりも高くなっている。


これらのサンプリング調査は、工業化とガンによる死亡とが相関関係にあることを実証している。
この30年間で工業化は国民の生活水準を高め、胃ガン、食道ガンといった“貧窮型ガン”の発症は低下したが、
同時に肺ガン、乳ガン、すい臓ガン、大腸ガンといった“富裕型ガン”の発症は増加していることを、
3次にわたる死因調査は示している。

●致命的要素がどこかにある


淮河沿岸の「ガンの村」のニュースが各メディアでしばしば報道されるようになり、
衛生部および国家環境保護総局は分別組織単位で専門家と共同で調査を行った。
衛生部門ならびに環保部門がそれぞれの分野を重点的に調査研究し、
淮河流域の環境汚染がガンの発症を高めていることを事実と認めた。


死亡率が比較的低い沙頴河と奎河の沿岸地区を調査し、主要な消化器系悪性腫瘍ならびに肺ガンが
確かに高確率で発症しており、かつ汚染企業の分布と悪性腫瘍による死亡率の高い地区の分布が
一致していることをみて、調査結果は、淮河支流における悪性腫瘍の高発症は環境汚染と
一定の関係にあることを実証している、とした。


環境汚染と悪性腫瘍の高発症との関連を、環保部門の汚染調査と照合して実証するため、衛生部は
中国疾病コントロールセンターに淮河流域の死亡者の死因についてさらに踏み込んだ調査を委託した。
差し当たってこれらの調査を積極的に展開することとしている。


酸性雨のような、見ただけでは分からない環境汚染と異なり、淮河の水が汚れていることは
見るからに明らかだ。


ある国家部門委員公務員の李珍氏が胃ガンを患って入院して以降、
彼女の夫は食品に対して格段の注意を払うようになった。


「黒ゴマを買ったら水に浸すんです。大きなスーパーで買ってきてお湯に入れたら
湯が黒くなり、ゴマをもうひと揉みしたら白ゴマになりました」
彼は走り回って、何軒目かの米屋でやっと、正真正銘の黒ゴマを手に入れた。


「ある寒い日、とても小さくて高いスイカをひとつ買いました。小さく切り分けたけれども、
涼しかったので、冷たいまま食べようとは思いませんでした。白い椀に入れて電子レンジで加熱して
蓋を開けてみると、白い蓋の内側が黄色く変色していました」
こんなものが食べられるのだろうか? 夫婦は考えを巡らせた揚げ句、結局スイカは投げ捨てた。


この数カ月間、夫は妻を思いやって、滋養のある食べ物を買うに代価を惜しまなかったが、同時に
少なからずを投げ捨てた。彼は、少なからぬ危険な食物を見つけるに及んで、このように考えるに至った。


「食品の安全はひとつの問題であり、防ガン・抗ガンの普及もひとつの問題です。
多くの病気に対しては、予防法と治療法が大規模に知らされましたが、
その中にガンは含まれていない。知らされる情報が少ないために、普通の庶民は
少しのことしか知らないし、どうやってガンを予防するかも知らないのです」


2007年9月30日mixi日記)


> 胃がん、なぜ日本人に多い?=遺伝子タイプ関与か−ピロリ菌感染者調査・名古屋大
> (時事通信社 - 09月29日 05:04)
>
> 胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌に感染しても、胃がんのなりやすさは遺伝子の型によって異なり、
> 日本人の大半はなりやすい型であることが、名古屋大大学院の浜島信之教授らの研究で分かった。
> 横浜市で開かれる日本がん学会で10月4日に発表する。
>
> 胃がん発生にはさまざまな要因があるが、日本や韓国などは欧米よりも発生率が高く、
> 多くがピロリ菌に関連しているとされる。
>
> 同教授らは、ピロリ菌感染者が胃がんを発症する場合、胃粘膜の委縮から胃がんへと段階的に進行することに着目。
> 感染者の日本人248人の遺伝子を調べ、委縮に移行した人としていない人との違いを分析した。
>
> その結果、「PTPN11」という遺伝子の一部の型が「GG」「GA」の人は5〜6割の高率で胃粘膜委縮が起きており、
> 「AA」の人では1割強にしかみられなかった。日本人の9割以上はGG型とGA型で、AA型は1割に満たず、
> ピロリ菌感染から胃粘膜委縮に移行するリスクが高いことが示唆された。