リクツ拒否にはメ線で電波ピピッ


ちょっと以前の話。


シロカネーゼ(※)への通勤電車、シートの端から2番目にすわってました。
7人掛けのベンチ型です。
途中駅で端のひとが降りたら、あなたなら、どうしますか。
電車内で観察するところでは、端に寄るひとが圧倒的に多い。
向かい側の中央あたりからわざわざ、その空いた端っこに 移ってくるひともいる。


自分は、それやらないのですね。
なんか“みっともない”行為という気がして。
いったん腰を据えた場所でごそごそ動き回る
(びんぼうゆすりとか脚をしきりに組み替えるとか、とにかくなんかごそごそしてるとか)、
というのに似て落ち着きがないというか人間がせせこましいというか、 他人がそういうことを
するのを見るにつけ感じるので、とくに必要がなければ、うろうろごそごそすることはしない。
どっか痒ければ掻くけど。


その日もそうだったんですが。
しばらくして乗ってきた人物が、その端っこ(つまり自分の隣)にすわって
それ自体はべつに、どうということもない。
空いてる席なんだから、だれがすわろうと文句はない。
その人物が、膝の上に置いてるアルミのビジネスケースをことさらに、こちらの脚に押しつけてくる。
かどっこが当たって痛いのは、故意だか偶然だか分かりませんが。


自分は荷物を持ってるとき、普通に持ったら隣のひとに干渉しそうだなと思ったら、
ヨコのものをタテにするなりして、なるべく隣にぶつからないように遠慮するんですが、
その人物はそういうことをせず、ヨコのものをナナメにしてでも、こちらにぶつけてくる。
こういう場合、「わざとやってんな、コイツ」と思ったら無視することにしてます、自分は。


そうこうするうち、しびれを切らしたのか
「そっちへ寄れよ」とおっしゃる。
“そっち”を見ると、反対の端に1人すわってるくらいで、その間はがらんと空いてるわけです。
「せまいですか?」と尋ねたら
「せまいんだよ、寄れよ」


でもね、自分がここにすわった時点で、あなたがすわってる場所には別なひとがすわってて、
そのひととこちらの肩がぶつかるわけでもなく、ふつうの体格のひとがふつうにすわるぶんには
そこはけっして窮屈なスペースではない。
そこが空いても自分は全然動いていないので、そのスペースがそれまでよりも狭まったわけでもない。
見たところ、あなたはそう太っているというわけでも、なさそうだ。
さらに反対側はがらんと空いてて、寝ころがったりもできるくらいのスペースはある。
というところへ、あなたは“わざわざ”入り込んできたんですよ。
そこがせまいなら、もっと広い場所があるんだから、あなたがそっちへ移りゃいいじゃないですか。


ということを言ってる途中で
「うるさいよ、うるさいうるさい」
とあっちを向いて言い出して、こっちの言うことを聞こうとしない。
ああ、こいつはひとの話を聞く気はないな、いくら言っても無駄だな、
と思ったので、もうなにも言わず、ただ、相手の顔をじっと見てた。
30センチもなかったですかね、至近距離で。


そんな状態で、こちらはもう、ひと言も発していないのに、
こちらがなにか言うのを阻止するつもりなのか、とにかく間をおかずに
「うるさいよ、うるさいうるさい、うるさいんだよ」
と言い続けている。


と、こっちを向いて、かけていたメガネを外して
「やんのか、いいぜ? おれは終点で降りるんだ。
 やるのに、ちょうどいい場所があるよ、つき合うか」
ときたもんだ。


自分も同じ駅で降りるので、場所的には問題ないけど、自分はいま出勤途中で、
駅を降りたらそのまま真っ直ぐオフィスに入らねば遅刻してしまう。
終わってからならいいけど、何時に終わるか約束できない。
いちおう定時は9時(夜)だけど、残業になるかもしれないし、とりあえず10時ということにして、
遅れるかもしれないよと言えばいいかな、と思いつつ、まだじっと顔を見てたら、
相手は反対側のシートの、あっちの端の方へ行っちゃった。


こちらもべつに“やりたい”わけじゃないから、そのまま放っときましたが、そっちの方から
「喧嘩のやり方も知らねえ」とかなんとか、隣のひとに言ってるらしい声が聞こえてくる。
お隣が知り合いだったのかどうか、知りませんがね。


「喧嘩のやり方」というなら、「やんのか?」の時点で手を出してますがな。
それを前提に、メガネを外したんでしょ?
最近は「車内暴力」にうるさいので、あとがメンドクサイけど。


いまみたいな立場で仕事してると、どうも喧嘩しにくいですね。
このときはとくに、相手も同じ駅で降りるでしょ。
「シロカネーゼの関係者だったら、マズイなあ」
という意識が、どうしても出てきてしまう。
自分ひとりが追い出されるなら、まあしょうがないかな、とも思えるけど
登録して仕事をもらってる会社からは、同じお客さん会社の別な部署に
同じような立場の人間が派遣されてきてるわけで、そっちに迷惑が掛からないか、とかね。


つまんないオトナに、なっちゃったなあ、なんてしみじみ。


別なときは、山手線で、なんとなく車内の吊り広告を見上げてたら
その広告の下にあたるところにすわってたひと(若いおニィちゃん)が
「なんか用?」と聞いてきた。
ま、たしかに顔は“そっち方向”に向いてましたさ。
こういうのは「自意識過剰」。


2007年9月17日付mixi日記に若干の変更を加えてあります)


※シロカネーゼ:自分がいま通ってる仕事場が、そっち方面なので、
その現場のことをこの日記では「シロカネーゼ」と言っています。