北京五輪へ行こう、My箸を持って


かつて指摘した「中国製割り箸の安全性」ですが、やはり中国国内でも問題視されているようです。
「酸っぱい割り箸」にあたったことは、ありませんか?

【節約型社会の要求 学生が使い捨て箸の“再生”を呼びかける】


大連市の劉氏とある店の間の論争――使い捨て箸には品質保証期限を明示すべきではないか?
その意見に反対する店主が、野次馬の多くの支持を集めた。劉氏には理解できない。
「わたしは、間違っているのか?」


国家規定で、使い捨て箸(割り箸)の包装には品質保証期限の表記が規定されている。


国家質量監督検験検疫総局(質検総局)ならびに中国国家標準化管理委員会が2005年6月28日に
連名で公示・施行した「中華人民共和国国家標準」および2003年12月施行の「中華人民共和国林業業界標準」で、
竹製・木製の使い捨て箸に関する標準規定が明確に示されている。


「国家標準」の規定では「製品の箱ごとに製造者名、出荷時期、品質保証期限を表示すること」とあり、
質検総局が2006年に示した「食品用包装容器工具等実施細則」でも、使い捨て用品は
その最小包装単位ごとに品質保証期限の表示が求められている。


大連市質検総局関係者の解釈によれば、使い捨て箸には品質保証期限があるが、
それを決めているのは生産者自身である。箸に材木本来のものとは異なる色の斑点が現れたり、
使う前から湿っていたり、変形あるいは明らかな酸味が感じられたりすれば、
それはその箸が汚染されていることを示しているので、使用すべきではない。


大連市衛生監督所食品2科の郭科長は、使い捨て箸の衛生品質を肉眼で確定するのは不可能であるとして、
「箸表面の病原菌や化学物質は見たり触ったりしても分からないし、使用後に検査することもできない。
有害物質が人体に一定量蓄積されてなんらかの問題が現れたときに、初めて分かるのだ」と述べる。


●記者調査


1・使い捨て箸の外袋には多くの広告はあるが、法定の標記は少ない


飲食業者が使い捨て箸に強く依存する理由は、それを使用することにより、
箸の洗浄・消毒などに費やされる人的経済的損失を免れ得ることであり、
中小の飲食店ではそのことに大きな魅力を認めている。


7月21日、飲食店が集中する界隈で調べたところ、40ほどの飲食店中30以上の店で
使い捨て箸を使用していた。


使い捨て箸のほとんどは木製で、シラカバ材やアスペン材が多く用いられる。
包装はプラスチック製または紙製であり、紙製の包装は全封または半封である。
記者は20余りの包装入りの箸を集めてきたが、そのすべてが、品質保証期限の表示のないものであった。
箸の包装には多数の文字が印刷されている、すなわち、店名、特色、電話番号、そして
「消毒済み」「安全衛生」に類する文字である。多くの経営者が使い捨て箸の品質保証期限に関して
無頓着であり、ある店の主人は、飲食業界に10年以上いるが、そんなことは聞いたこともない、と言う。


長春路のある店での、使い捨て箸の使用状況はまことに憂うべきものであった。
裸の箸が上も下もなく瓶に差し入れられ、1平方メートルに満たない食卓上に置かれている。
その上で客は様々にやり取りし、談笑も興に乗ってくれば唾の飛沫が箸立てに降り注ぐ。
自分の使った箸を箸立てに挿す客もあるし、店は店でその箸だけを取り替える、その繰り返し。


2・箸袋つきは2日前に予約する


チェーン店の多くでは本店が定期的に購入するが、そのサイクルは長くとも半月を超えない。
個人経営の飲食店も同じ卸市場から仕入れる。


ある卸商によれば、アスペン製の箸は包装なしが100膳で2.5元、包装ありがその倍。
1件(40板*)まとめ買いすれば50膳で1.75元。質のよいシラカバ製は50膳で2元であり、
竹製は70膳で5元。その女性卸売商が言う。
「木製の安い箸はよく売れる(品薄になる)から、3件手に入れようと思ったら
(あちこちの卸業者を)丸1日走り回らなくちゃならない」
使用人に箸を入れる袋を作らせて、取り出した使い捨て箸をその中に入れる。
「この箸の質はとてもいい。袋には入ってないけど安くて、飲食店の需要は多いから、
400枚ちょっとで3元の箸袋を買って自分で包装するんだ。専用の箸袋を頼むとすごく高いよ、
もちろん、たくさん買うなら安くなるけど、それでもコストは3倍かかるのが普通だね」


  (訳注*「板」という単位がどれほどの員数かは不明)


ある事情通は暴露する。当面、多くの飲食店は包装なしの箸を選択するので、一般業者は箸を袋に詰める作業を
しなくてよい。さらに専用の箸袋はすこぶる高額だし、特徴がありすぎる(使い回しが利かない)ため、
飲食店からあまり歓迎されない。国家が定める使い捨て箸に関する規定は生産者に対するもので、
生産と流通に関して制約するが、それを使用する飲食店に対してはなんらの規定もなく、
包装なしの箸を(生産者以外のものが)包装することも禁止していない。これが、品質保証に関する表示の
まったくない使い捨て箸が食卓を高率で占有することの一要因である。
「当面、使い捨て箸が品質保証期限を過ぎる可能性は小さいだろう。毎日の取引量は大きいし、
買い溜めするほど価値のあるものでもない。入荷から販売まで長くて1カ月だ」


3・絶対的多数の客は使い捨て箸に品質保証期限があることを知らない


記者は1週間にわたってアンケート調査を行ったが、回答者中、使い捨て箸に品質保証期限が
あることを知るひとはきわめて少なかった。1人の女性は酸味のある使い捨て箸を用いたことがあって、
その時、食事中に箸を噛む癖を後悔したと語った。何人かのひとは、使い捨て箸の衛生状態は
あまりよくないと知りながらも、箸に付着している細菌は微量であり、
人体に悪影響を及ぼすほどではないという前提の下に使い続けていた。


95%のひとが、使い捨て箸の衛生状態は自己の理想には届かないとしながらも、75%のひとが、
消毒して繰り返し使う箸よりも使い捨て箸の方が他人の口に入らないだけ衛生的であると答えた。


この調査の結果を、冒頭の劉氏に知らせた。
「使い捨て箸の包装に品質保証期限を記すことを要求すべきと、消費者はそれを知りたいと
思わないのだろうか。わたしは、むき出しの箸を袋に入れる飲食店は(使い捨て箸の)2次生産者だと考える。
(1次生産者に求めるのと同様に)包装に関しても生産日の表示を求めるべきだ。
どんな規制にも、その隙に乗じるもののあることを考える必要があるのではないか?」


●専門家の視点


できる限り、使い捨て箸の使用を拒絶する


「資源という観点に立って、わたしは使い捨て箸をはじめとする使い捨て用品の使用には賛成しない」
北京凱発環境保全技術センター主任、中国プラスチック製品再生利用委員会副会長、
北京環境科学学会副秘書長、北京環境保護食器連合組織秘書長の董金獅氏は言う。


董氏によれば、中国では毎年およそ450億膳の使い捨て箸が生産されており、
それによる材木資源の消耗は約500万立方メートル。
樹齢20年の大木から得られる箸はせいぜい3000〜4000膳である。


「使い捨て箸の生産過程には、その衛生を請け合えないという、憂慮すべき問題がある」
使い捨て箸の製造工程は、おおまかに3段階に分かれる。第1段階は漂白。まず薬液を用いた後、
硫黄で薫蒸する。化学薬品の残留量は一定限度内に定められているが、防カビ期限を延ばすために、
一部の生産者は大量の農薬を防カビ剤として加える。第2段階は乾燥。ここで使用する滑石粉は
胆のう結石を誘発し、それに含まれる重金属は血液ならびに神経系統に損傷を与える。
董氏によれば、使用前に水で洗えば、箸の表面に付着する滑石粉を減らすことができる。
第3段階は艶だし。この段階で、発ガン性の高い芳香族炭化水素の工業用パラフィンを用いる生産者もある。


董氏によれば、木箸は多く黒龍江省で生産され、竹箸の主要産地は湖南省江西省などである。
「我々が過去に1度行った調査では、無責任な業者は運搬には蛇皮袋(日本人の中国旅行者の間では
“華僑バッグ”“人民バッグ”とも呼ばれるらしい、ビニール製レジャーシートの素材で作った
簡素・安価な袋)を用い、出荷時には農薬の袋に入れており、そうした外装品による汚染、
運搬途中の汚染によって、箸は衛生的とは言えない状態となっている。


通常、使い捨て箸は工場で生産されてから各地方で販売されるまでの間に、加工工場で包装され、
それには「高温消毒」などと標記されるが、それは実際の箸と関係あるのか?
作業員の健康状態(なんらかの病原菌の保菌者が作業を行っている可能性がある)はどうか?
加工場の環境は基準に達しているのか? 80%以上の製品は、その品質を保証できない」


調査によれば、国家および改革委員会において、使い捨て箸の使用を継続して認めるかどうかが
議論された。反対意見は、使い捨て箸は木材・竹材資源の浪費であり、食卓の安全を請け合えず、
回収率も不明である(回収されていない箸は、再度使用されている可能性がある)。
消毒して繰り返し使う箸で使い捨て箸に代えるべき、とする。
使い捨て箸の使用を支持する意見は、木製の使い捨て箸は一般用途には適さない端材を使っている。
また竹は2〜3年で切ってしまわなくてはならないので、適切に使用すれば使い捨て箸は逆に
資源の有効利用であり、同時に就業を保証するものでもある、としている。
最終的に温家宝総理の指示により、我が国の市場において使い捨て箸の継続使用を許可する、
ただし、同時に上述の各業者に対して規格標準を制定した。


品質保証期限を過ぎた使い捨て箸を消毒して使用することは可能かという、
ある飲食店経営者の質問に対して、董金獅氏は以下のように回答した。
期限を過ぎた箸は一定程度に化学汚染しており、規定に定められた消毒では、
カビを生じさせる菌の毒素などを除くことはできない。


董氏は我が国の使い捨て箸の現状について、品質をめぐる憂うべき問題のほかに、
回収状況にも同様に心を痛めていると述べた。
「日本へ実地調査に行ったことがあるが、日本では毎年100億膳以上の使い捨て箸が用いられており、
その80%は中国産である。そしてかの国では、その回収率は100%(いったん使用された箸は、
すべてゴミとして“回収”され、再度使用されることはない)。彼らが使い捨て箸に用いるのは、
製紙にも使える良質の原料である。なぜ、我々の技術がそこに至らないのか、
制度が追いついていない面が多々あるのではないか?」


●客の不安を取り去る新型使い捨て箸


使い捨て箸の品質の不安な現状を見るにつけ、不衛生な使い捨て箸は、
消毒して繰り返し使う衛生的な箸に劣る、と言えよう。ただし、消毒時間・回数
およびその効果について保証され、監督管理制度が完全に整備されなおかつ、
経営者自身の素質が高まれば、の話であるが。


ここで、新型の使い捨て箸のささやかなアイデアを:


つけ換え箸――一般に箸の長さは20〜23センチ、そのうちひとの口に直接触れる部分は
長くて6センチである。残る十数センチを丈夫な材料で作り、きちんと洗浄して繰り返し使用する。


滑り止め加工箸――凹状の紋があれば使用後整理しにくく、再度回収して使われることを防ぐ(きちんと
並べて体裁を整えることが面倒なので、そのまま捨ててしまう)。またこのように加工してあれば
摩擦力が増大して料理をつかみやすい。ただし製造は割高になるであろう。


キャップ付き箸――プラスチック製のキャップを被せ、箸が外部の雑多な物に接触するのを防ぐ。
また箸そのものは短く作り、使用時にキャップを反対側に付けることで長くする。


チップ交換箸――1段の箸本体に、箸、フォーク、スプーンなどのチップを付け替えて使用する。
チップは各人が自分用のものを持つ。


当面、市場では、大小のスプーンと箸、匙を納める携帯式の食器箱が歓迎されている。
大連市のある外資企業に勤める范氏は2年来、ずっと食器箱を持ち歩いている。
「小さくて軽いので邪魔にはなりません。使ったあとは自分で洗って、定期的に煮沸消毒しています。
安心して使っています。ただ、他人と一緒に食事するときは、この箱を取り出すだけで
相手はびっくりしますね。つまるところ、箸で食事を摂ることの理念から、
目の前にある汚れを受け入れることができないんですよ」と笑いながら語った。

上は、


 [NBonline“キタムラ・リポート”]
 口に入れるのは食べ物だけじゃない〜危ない中国製「割り箸」


で一部紹介されている中国の新聞「半島晨報」の記事の全文を、試みに自分で訳したもの。
ただし中国語の勉強などしたこともないので、誤りも多々あることでしょう。
間違いを見つけた方は、ぜひ正しい訳をお知らせください。


原文はコチラの「新華網」のページ
“キタムラ・リポート”で言及されている「半島晨報」ではありませんが、
“来源:半島晨報”として、半島晨報の該当記事がたぶん全文、掲載されています。


さて、全文を読んで面白いなと思ったのは、やはり中国でも使い捨て箸(割り箸)をめぐっては
「環境を守るために使わない」派と「割り箸オッケー」派に分かれるところ。


それぞれの論旨は日本とまったく同じで、
割り箸反対派は


 「割り箸は資源の無駄遣い」


と言っているし、
割り箸容認派はそれへの反論として


 「端材・間伐材を使っているから環境には影響はない」


と言っている。
ほんとのところは、どっちなの? と思うわけですが。


ただ、記事中の数字を引用すれば、 中国では年間450億膳の割り箸が作られており、
樹齢20年の木をまるまる使って得られる割り箸は3000〜4000膳。
端材・間伐材だけで450億膳の割り箸を作ろうとしたら、
どれだけの木が製材されているってことになるのだろう。


自分の考えとしては、こうです。


まず、日本人が年間250億膳も割り箸を消費するのは、 そりゃ割り箸がタダだからだ。
それを作るのに見合う値段がつけば、消費量はもっと下がるハズ。


そこでまず、外国からの割り箸の輸入を一切やめる。
毎春、悪評ばかりが聞こえてくる杉を伐採して割り箸を作り、そのあとには別な樹種を植林する。
そのサイクルを維持できる値段で、割り箸を販売する。


消費者はアブナイ割り箸を使わなくて済むし、営林事業は回転するし、
営林が回転すれば山里もそれなりに保全されるだろうし、割り箸の消費量が
下がるのでゴミの減量になるし、いいことずくめじゃあないですか。


というわけで、自分は「My箸」派なんですよ。
割り箸が国産だけになれば、「割り箸積極使用」派になることでしょう(値段にもよるけど)。


記事中で提案されている「新型箸」は、しょーがねーなー、ってとこですかね。
なんでそんなにまでして「使い捨て」にこだわるのか。
「チップ交換箸」と「My箸」と、どこが違うというのか。


そこで来年、北京オリンピックへ行くひとは、「My箸」を持っていって、
食事のたびに取り出して、あちらのひとを啓蒙してください。


中国にも范さんが使っているような「箸箱(便携式餐具盒)」は あるみたいですけどね。
箸以外に大小の金属製スプーンと匙(いわゆる“レンゲ”?)も持ち歩くらしいので、
日本の「箸箱だけ」よりはかさばるのでしょうが。


2007年8月30日付mixi日記に若干の変更を加えてあります)