現れて消えていった小さな湿地の記憶


台風一過、雨水によって4年ぶりに湖が出現したというニュース。


「台風の大雨が低地にたまって出現した湖」って、
これは“水溜まり”と言うのではないのか。


こどもの頃、近所に大きな“水溜まり”がありました。
山を切り崩してつくった工場跡地、7〜8メートルの段差をもって
上下2段に平地があって、上の段の奥の方、造成によって寸断された水流から
落ちてくる水が溜まって、大きさはどうですかね、
4コース×15メートルプールくらい? 大きくもないか。
周囲には造成時に残された雑木が茂ってて、
ちょっとした「池」くらいにはなってました。
サカナがいたかどうかは分からないけど、カメは見たことがある。


高い位置から水面に落ち込む、斜度45度くらいのところには
近所の連中が投げ捨てた、家電ゴミや粗大ゴミが溜まってましたがね。
いなかの人間は「自然をたいせつに」なんてしないよ、ほんと。
それはそれとして。


で、その“水溜まり”ですが、自然にできた地形じゃないし、
もともとあった「水の通り道」も削り取られてなくなっているので、
そこ溜まった水が低い方へ流れていくという「流れ」がない。
まあ、溜まる一方ということはなくて、山と平地の際(きわ)の部分に沿って
造成地につくられた排水溝へとつながっていたようですが、
上から落ちてくるわずかな流れが、あふれたぶん排出されるだけなので
許容量が非常に小さい。


雨が降って許容量を超えてしまうと、あふれた水が平地に流れてきて、
そんな状態が続くうちに上の段の平地はまるきり湿地になってしまって
一時期は、一面にアシが生い茂ってましたね。
自分が高校生のときに整備されて、「運動公園」になりました。
可部運動公園」です。
「施設概要」のマップ、「(1)多目的スポーツ広場」の上の方、
ベージュとオリーブに塗り分けられた境目あたりに、
その“水溜まり”はありました。


住宅地にしなかったのは、正解でしょうな。
あんな状態だと、地面はぐずぐずで、上に重たい家が何軒も建っていたら
たぶんすぐ地盤が緩んで、家が傾いたり壁がひび割れたりしたでしょう。


現在、親は町の、もっと中心部に移り住んでるし、住んでた住宅は
取り壊されたハズで、この場所に“戻る”ことは、もう一生ありませんがね。


奥日光の「幻の“湖”」のニュースを読んで、
そんなことを思い出しましたんでした。


2007年9月15日付mixi日記に若干の変更を加えてあります)




> 台風が残した“湖”、奥日光に4年ぶり出現
> (読売新聞 - 09月15日 12:39)
>
> ラムサール条約登録湿地の奥日光(栃木県日光市)にある小田代原(おだしろがはら)に、
> 台風9号の大雨の影響で“湖”が4年ぶりに出現した。
>
> 奥日光では、台風9号により557ミリの総雨量を記録。浸透しきれない雨水が
> 草原の低地に約3ヘクタールの楕円(だえん)にたまった。「小田代湖」とも呼ばれ、
> 4年前の台風では約5か月間、姿を見せていた。今回は「1か月は見られそう」
> (県立日光自然博物館)という。
>
> 小田代原には「貴婦人」と称されるシラカバの古木があり、湖とカラマツ林に
> 囲まれた幻想的な姿を撮影しようと、多くのカメラマンが訪れる。