毒餃子予防法——調理前に「すべて」を洗うべし


毒餃子メタミドホスはパッケージの外側に付着していた公算が大きくなってきました。
メタミドホス水溶液を袋の上からぶちまけた、みたいな感じでしょうか。


   中国製ギョーザ:新たな被害警戒…メタミドホス検出


  混入した毒物はどこまで広がっているのか——。大阪府枚方市の小売店から
  返品された中国製冷凍ギョーザの6袋から新たに有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出した。
  さらに、日本生活協同組合連合会が回収した食べ残しのギョーザ2袋からも残留基準値以下ながら
  微量が検出された。新たな混入が発覚し、輸入や販売にかかわった企業関係者は
  大きな衝撃を受けた。前日は「被害は極めて限定的」と見ていた厚生労働省にも緊張が走った。


   ■輸入企業


  冷凍ギョーザを輸入したジェイティフーズと親会社の日本たばこ産業JT)、輸入を
  仲介した双日食料は3日夜、それぞれ都内で会見した。JT の岩井睦雄食品事業本部長は
  「心配、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」と陳謝。双日食料の武田浩文社長は
  「早急に原因を解明するよう関係機関とともに精いっぱい努力していく」と話した。


  JT などによると、兵庫県警で毒物が検出された6袋は、昨年12月27日に大阪府枚方市内の
  小売店に納入した11袋の一部。2袋を買おうとした客が異常に気付き店側に連絡。店側が
  「パッケージの外側がねばつき異臭がする」と連絡し、店頭に並ぶ9袋と共に翌日返品した。
  いずれも兵庫県高砂市メタミドホスが検出されたギョーザと同じ昨年10月1日製造だった。
  双日食料によると、商品を小売店に運んだドライバーも異臭に気付いたという。


  JT の品質管理部は1月7日に返品を受け取り、双日食料で原因を調査。食味検査では
  異常はなかった。同9日、検査機関に3袋の検査を依頼。油溶解性の黄色い液体と水溶性の
  透明な液体が付着していたことが判明した。脂肪酸エステルやリン酸化合物を含んでいたが、
  物質の特定は難しいという結果だった。


   ■コープ


  千葉県で起きた2件の中毒事件のギョーザを販売した「ちばコープ」が加盟する
  コープネット事業連合さいたま市)の永井伸二郎執行役員は3日夜、記者会見で
  「パッケージに付着していたと聞いて大変驚いている。『包装に穴が開いている』
  『べたべたしている』とのクレームや返品はない」と説明した。


  永井役員は「ギョーザそのものなら危険だが、パッケージの場合は、触っただけでは
  ただちに被害があるとは考えにくいが、安易に判断せず情報収集に努めたい」と話した。


  さらに、回収した2袋のギョーザからも極めて微量のメタミドホスが検出されたため
  同日夜中、日本生活協同組合連合会が緊急記者会見。「残留農薬など原料に由来するもの」
  と一連の事件による混入との違いを強調した。


   ■厚労省


  厚労省は、千葉、兵庫の3家族10人以外に有機リン系中毒をうかがわせる健康被害
  報告がないことから、「被害は極めて限定的」との見方に傾いていた。だが新たに
  メタミドホスが検出されたことで「新たな被害発生の恐れもある」と警戒を強めている。


  厚労省が最も恐れるのは、有機リン系中毒が天洋食品(中国河北省)で製造された
  冷凍ギョーザ以外でも出ることだが、全国の保健所の報告からその懸念は薄れつつある。
  輸入食品安全対策室は、輸入された冷凍ギョーザに危険な食品がどの程度混じって
  いるかが問題だと見ている。


  一方、今回の6袋の製造・流通経緯をたどることで解明に近づくという期待もある。
  同室は「どの範囲が危険なのかが絞られれば、それ以外の商品の安全宣言も出せる。
  今の段階では、中国製冷凍食品全体を幅広く警戒して情報収集を続けていく」としている。


   ◇天津新港まで同一ルートか


  「双日食料」が保管していた冷凍ギョーザは、兵庫県高砂市で発生した中毒事件と
  同じ中国河北省の「天洋食品」の工場で製造された「中華 de ごちそう ひとくち餃子」。
  製造日も同じだ。汚染が発覚した6袋のうち、1袋だけ穴が開いている。高砂市の中毒事件の
  冷凍ギョーザも袋に穴が開いていたが、穴と汚染が関係があるのかどうかはまだ不明だ。


  一方、流通経路をみると、高砂事件の「ひとくち餃子」は、天洋食品工場で昨年10月1日に
  製造され、コンテナに詰められトラック輸送。天津新港から船積みされ、同11月6日、
  大阪港に到着した。新たに汚染が発覚した6袋も「ひとくち餃子」で、同じ船便で運ばれてきた。


  千葉県での2件の「CO・OP 手作り餃子」の製造年月日は昨年10月20日。天津新港までの
  ルートは同一とみられるが、別の船便で昨年11月5日に横浜港に入港した。


  毎日新聞 2008年2月3日 20時12分 (最終更新時間 2月4日 0時13分)
  http://mainichi.jp/select/today/news/20080204k0000m040061000c.html


先に「万一、パッケージの外側に薬剤が付着してた、なんてなった日には、
少々めんどくさいことになるような気がしますが
」と書きましたが、
どう「少々めんどくさいことになる」のか、ここで説明いたしましょう。


異物がパッケージの外側に付着していたことを受けて、コープネット事業連合
永井伸二郎執行役員は「ギョーザそのものなら危険だが、パッケージの場合は、触っただけでは
ただちに被害があるとは考えにくい」と語っていますが、果たしてそうでしょうか。


調理する際に手で持ってパッケージを開けて、手に毒物が付着する。“その手で”
内容物を取り出して、手に付着した毒物が内容物に移る、ということは考えられないのか。
また、その可能性があるなら、同時に冷蔵庫に入れていたほかの商品のパッケージにも
付着した可能性も考えられるし、店頭で並べた際に接触したほかの商品に付着した可能性、
それを並べていた従業員の手を介して、全く関係ない商品に付着した可能性まで考えられないか。


ここで「明らかにパッケージの外側に異物が付着して異臭を放っていた」商品は、
客が気づいて店側に連絡したわけですが、店頭に並んでたわけでしょ?
それを並べた従業員は、客が気づいたその異常に気づかなかったのか?
あるいは、並べてからある程度時間が経過してから、そうした異状を呈するように
なったのかもしれないが、ともかくそれを並べたその手で、ほかの商品も並べたわけでしょ?
ここに危険は、全くないと言い切れるのか。


などと考えると、あたかも赤痢菌感染者の行ったところ触れたものを逐一追跡して
消毒して回るがごとき対処も必要になってくるのではないか、というのが、
先に書いた「少々めんどくさいこと」なわけです。


まあ、これはあくまで「可能性」の話なので、そこまで心配なひとは当分の間、
口に入れるものを扱う際には、内容物そのものだけでなく、パッケージのままでも、
きれいに流水で洗うようにした方が、いいかもしれません。


そこまで広がってたら、仮に付着していたとしても、相当微量になってるだろうし、
運悪く口にして気分が悪くなることはあっても、致死量には至らないだろうという
楽観的な予想の下に、自分はそんな「めんどくさいこと」はしやしませんが。


ともかく、メタミドホスがパッケージの外側に付着していたのだとすれば、
希望的要素はひとつ、あります。
毎日新聞の記事中にもありますが、どこでそれが行われたか、が
絞りやすくなったということです。


被害地域がいくつかに分かれているということは、それぞれ個別にではなく、
集積地でまとめて毒物を付着・混入された可能性が高いでしょう。
流通経路の中で、パッケージのまま集積されたポイントを精査すれば、
なにかしら痕跡は発見できるのでは、ないでしょうか。