モンスターボランティア〜自分にできることなど何もない


東日本大震災東北地方太平洋沖地震東北関東大震災)の被災者に
何かしたいと思っているアナタは、以下を読んでから「自分に何ができるか」を考え行動すべきだろう。


「自分にできる何か」は、けっして「自分がやりたい何か」ではないし
「見返り」(=被災者からの感謝)を求めてやるようなことではない、
ということを忘れずに。

タイガーマスク現象」批判非難に見るモンスターボランティアの兆候


本題に入る前に小咄をひとつ。


ちょっと前に「流行った」タイガーマスク現象に
モンスターボランティアの萌芽を見て取った作家の佐川光晴氏が
ブームを批判するコラムをJBpressに寄稿したが、案の定、
氏を非難する読者コメントが多く寄せられた。


「タイガーマスク現象」という困った慈善活動
本家「タイガーマスク」と寄付ブームの大きな違い
40年間、寄付を続ける覚悟はありますか


これらの読者コメントを読んで思ったこと・・・
「『偽善者』と呼ばれて、善人は苦悩し、偽善者は腹を立てる」

「自分探しボランティア」は被災地に近づくな

西宮市議会議員・今村岳司氏のブログより(氏は阪神・淡路大震災の被災者である)
http://xdl.jp/diary/?date=20110313


「悔しくて、悔しすぎて、記憶から消していたことが、いろいろ蘇ってきて辛いです。
ひとつは、観光気分で来た自分探しボランティアの連中のこと。
彼らは、人から感謝されることを楽しみにやってきただけでした。」


被災していない人間に被災者の気持ちが分かるわけがないのです。
分かるわけがない相手に分かったようなことを言われたりされたりすることこそが、
相手に『被災者の気持ちなんて結局誰もわからない』を痛感させます。
とにかく、自分にできることなど何もないことを受け容れることが必要です。
『何かしよう』という気持ちが、本当に自己満足ではないのか、よくよく考えるべきです。」


「まずは、呼ばれでもしないかぎり、絶対に被災地に行かないことです。
被災地から出ようとする人、入ろうとする支援部隊や家族で
アクセスはただでさえ大混乱ですから非常に邪魔です。
統制もとられておらず装備もなく訓練も受けていない『ボランティア』は
ただの野次馬観光客です。何の役にも立ちません。
自衛隊は、食糧から水から燃料から寝具から、全て自前で用意して出動します。
しかし、手ぶらのボランティアは、
被災者が食うべきものを食い、被災者が飲むべき水を飲み、
被災者が寝るべきところで寝るのです
。」


要請されないかぎり何も送らないことです。
何が不足しているかもわからずに送られてくるものは、千羽鶴と同じゴミです。
『着るものがないだろう』とボロを送られても馬鹿にされたと思うだけです。
水もガスもないところにカップ麺を送られても意味ありません。
現場に何が必要かを理解しているのは現場のプロだけです。
『○が不足しているのでどこに送って欲しい』という呼びかけに応えるのであれば、
ぜひ送ればいいともいます。」


「要はプロに任せることです。
16年前、遠くのまちの名前が書かれた消防車やパトカー、
そしてなにより規律正しい自衛隊が来てくれたときには、
ほんとうに嬉しかったです。
彼らは、これまでに見たどんな人間より気高かったです。
彼らはプロとしての技術を持っていましたし、
彼らは私たちに感謝されることなど求めていませんでした
被災地に必要なのは、プロだけです。」


「被災地の復興と、自衛隊の活躍、そして、大切な友人である自衛官の無事の帰還を、
心から祈ることだけが、無力な私にできることです。」

「何が」できるのか、「いつ」それをすべきか

(つづき)http://xdl.jp/diary/?date=20110314


「テレビに『復興した』というニュースが散見されだしたときこそ、
動き出すべきときです。
テレビは感情に訴えかけるエンタメなので、
感動的なドラマを放送するために、『復興』を放送します。
しかし、ほんとうの復興など、そんなにすぐできるわけがないのです。
そういう報道が為されだすくらいから、
必要な物資や、必要な人的支援や、必要な資金などが明確になってくるいっぽうで、
反比例的に『助けを求めている!』という報道は減少します。
さっきまで国じゅう挙げて『力を合わせて』といっていたのに、
さらっと忘れるのです。
そういったときにこそ、小さな情報を拾って、
みんなに呼びかけてあげてください。そして応えてあげてください。」


「いま、自衛隊、全国の自治体の救援部隊、さらには外国からの援軍も
被災地に投入されていっています。
彼らがまずは現地入りして、救援の統制系統の下地を整えた状態であれば、
ボランティアは活きてくる可能性もあります。
ただし、彼らの指揮下に入ることが最低条件です。
テレビで『ボランティアのやる気を削がず自由に活動させるべき』
などと、“有識者”が言っていましたが、とんでもない意見です。
指揮命令系統のない大人数など、現場の復旧活動の邪魔になるだけ。
やりがいや自己満足を求めて現場入りするのは最大の迷惑です。
自分のためではなく、部隊の指揮下で日本のために自分を犠牲にできる人だけが、
『ボランティア=義勇兵』として現地入りすべき
です。」


なにより、いまできることは、募金を『すること』です
(独自に街頭に立ってよびかけることではなく・詐欺が横行します)
呼びかけるとすれば、身元のしっかりしたところへの募金を呼びかけるべきです。
それくらいしかないのです。
でも、いまはそれがいちばんありがたいのです。
私たちは復興に必要な技術を持っていません。
私たちは復興に必要な訓練を受けていません。
でも、それぞれの財布から出る色のついていないお金は、
絶対に復興の邪魔になりません。」


世の中がこの『悲劇』に飽きて、支援への熱が冷めだしたときに、
『復興』のドラマを酒の肴にしだしたときに。


そのときにこそ、この災害のためにできることを継続しましょう。


被災してから、私が初めて悲しくて悔しくてぼろぼろ泣いたのは、
震災から半年以上たった夏のころでした。
どうして俺はこんなに不憫なのか?とふと思って情けなくなって、泣きました。


よく憶えている。」